令和3年3月一般質問(3)

コロナ禍における保健所と本市の連携について

テレビのニュースでコロナ感染者情報が毎日報道されています。

福岡市・北九州市・久留米市は感染者数が各市で発表されますが、飯塚市は県管轄感染者数に含まれ詳細がわかりません。なぜかというと飯塚市は保健所を設置できる自治体ではないからです。

保健所の設置ができない飯塚市は、コロナ感染症対策においてどのような問題点があるのか一般質問を行いました。

Q1 保健所は地域保健法の規定に基づき設置されているがその規定の内容と、保健所はどのような専門の職員を配置しているのか。

A1 保健所の設置については、地域保健法第5条に規定されている。その内容は、都道府県、指定都市、中核市、その他政令で定める市、特別区が設置すると規定されている。
本市を所管する嘉穂・鞍手保健所の保健医療関係の職員配置は、医師が2人、薬剤師が9人、保健師が18人、助産師が1人、放射線技師が1人、臨床検査技師が2人、管理栄養士が2人となっている。

Q2 保健所を設置する自治体は、都道府県、指定都市、中核市、その他の政令で定める市、特別区ということだが、その他の政令で定める市とは具体的にどの自治体を示すのか。

A2 その他政令で定める市については、地域保健法施行令の第1条で規定されており、小樽市、町田市、藤沢市、茅ヶ崎市、四日市市の5自治体となっている。
福岡県では大牟田市がその他政令で定める市として保健所を設置されいたが、人口減少に伴う都市機能の縮小、財政状況の悪化等から保健所機能を維持継続していくための人材や財源確保が困難という理由により、令和2年4月1日から福岡県の所管区域に編入され市の保健所としては廃止となっている。

Q3 飯塚市は、保健所を設置できる自治体でないということがわかった。
本市の地域保健は福岡県が設置する嘉穂・鞍手保健福祉環境事務所が所管しているということだが、新型コロナウイルス感染症の対応としての保健所及び飯塚市の主な役割はどういうものか。

A3 保健所は、新型コロナウイルス感染症対策の実施主体である。
その主な役割は、市民、医療機関等からの相談対応、PCR検査の行政検査、感染元の探求、濃厚接触者の抽出を行う積極的疫学調査、入院調整、移送、入院勧告、就業制限等の行政手続、患者の健康管理、地域の医療提供体制整備の調整など幅広い役割となっている。
本市の役割は、新型コロナウイルス感染症の行動計画として位置づけられている飯塚市新型インフルエンザ等対策行動計画で整理しているが、市は、住民に最も近い行政単位であり、地域住民に対するワクチンの接種や住民の生活支援、新型インフルエンザ等発生時の要援護者への支援など、市行動計画及び基本的対処方針に沿って、発生段階ごとに各種対策を行うとなっている。
具体的には、不安を抱えられている市民の方への相談、感染拡大防止のための啓発、感染状況の情報提供、保健所、医師会との連携によるワクチン接種、PCR検査、医療体制の確保、さらには、地域経済、市民生活安定に関する役割となる。

Q4 コロナ禍において、飯塚市が直接保健所を設置していないことによる問題点について、どのように認識しているか。

A4 今回の新型コロナウイルス感染症対策の中で、特に難しさを感じたことは、県が公表している感染者情報のほかには情報を持たず、感染の傾向を把握することが出来なかったことである。
どのような場所や場面で感染が拡大しているかなど、本市の傾向を分析することができれば、より効果的な市民への啓発・感染拡大防止策が行えるのではないかと認識している。

Q5 これまでも新型コロナウイルス感染者等について、保健所との情報共有の在り方について指摘されてきたが、現在はどのような状況なのか。

A5 現在は保健所が分析している感染傾向、感染データなどについて、一部情報共有が図られる状況となっている。
しかし、感染者等の個人情報保護や人権の擁護などの観点から、行政内部のみの情報共有という位置づけで、非公開という取扱いになっている。したがって、感染者に対する人権相談の案内や生活支援施策の紹介については、現状も保健所を通じて行っているという状況である。

Q6 大変苦しい状況だと思うが、徐々に保健所との情報共有が図られてきたということは、一歩前進ではないかと考える。
しかし、新型コロナウイルス感染症のみならず、今後も新たな感染症などへの対応が必要となることが予想される。
新型コロナウイルス感染症が終息したわけではないので、今回の対応を教訓に保健所との連携をさらに深めていくことが重要であると考えるが、本市としてはどのように考えているのか。

A6 今回の感染症対策においては、保健所、医療機関等との連携の必要性を痛感している。保健所を設置していない自治体として法的な限界があるが、今回の対応を教訓にしてより適切な対応を図れるよう、保健所を初めとした関係機関との連携を強化していきたい。

今回の質問で明らかになったこと

保健所は、感染者の特定や濃厚接触者の抽出、入院等の調整などを行うため、新型コロナウイルス感染者等の詳細な場を把握することができるということです。

一方、飯塚市は保健所を設置できる自治体ではなく、また個人情報保護の観点から詳細な地域の感染状況が把握出来ていないということになります。

今回、コロナ禍における感染予防対策や市民への支援を実施する中で、さまざまな課題があることがわかりました。

こうした課題解決を図るためには、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律や、新型インフルエンザ等対策特別措置法などの法律における市町村の役割について、見直す必要があると感じています。

そこで市長に、全国市長会などを通じて国へ働きかけを行ってもらいたい旨及び、より一層円滑な地域保健行政が実施できる環境整備の取組みを要望しました。