令和3年3月一般質問(1)

飲食店以外の事業者支援について市はどのように考えているのか

市内飲食関係取引業者の経営者から、「飲食店以外の事業者にも何か支援をしていただけないでしょうか」というご意見をいただきました。

経営者からお話を聞くと、コロナ禍で売上げが昨年比7割減となっている。また緊急事態宣言によって、市内飲食店の約8割が休業していて売掛金の回収も難しく、工場の稼働を週5から週2に減らして何とかやっている状況で、従業員の雇用を守ることが非常に難しいとのことでした。

飯塚市は、市内事業者の苦しい経営状況を把握しているのか、又飲食店以外の事業者への支援をどのように考えているのか、令和3年第2回定例会で一般質問を行いました。

Q1 コロナ禍の長期化を見据え、ニーズ調査を実施し状況を把握する必要があるのではないかという令和2年9月議会での私の質問に対し、経済部長は、アンケート方式による実態調査を実施したいと答弁をされたが、実態調査の状況はどのようになっているのか。

A1 令和2年9月28日から10月30日までを調査期間として、飯塚市、飯塚商工会議所、飯塚市商工会、飯塚観光協会と共同でアンケート方式による実態調査を実施した。
市内の全業種4,362事業者に、アンケート用紙を送付し、876事業者から回答をいただいた。
回答率は20.1%となっている。また、回答数の多い業種は、飲食業(234社)、小売業(187社)、サービス業(166社)であった。

主なアンケートの調査結果は次のとおりとなっている。
⑴ 新型コロナウイルス感染症により影響があるか

① かなり影響が出ている、または多少の影響が出ていると回答した事業者 約77%

⑵ 具体的に生じている影響について

① 売上げ、受注の減少と回答した事業者 約73%
② 資金繰りの悪化と回答した事業者 約31%
③ 感染症防止対策に伴うコストの増加と回答した事業者 約20%

⑶ 事業者における課題や取組について

① 3密対策と回答した事業者 約33%
② 既存商品、サービスの見直しと回答した事業者 約27%
③ 新たな商品、サービスの提供と回答した事業者 約23%

Q2 調査の結果、新型コロナウイルス感染症により、具体的にどの業種が経営に支障をきたしているのか。また、市内事業者はどのような支援を求めていると考えるか。

A2 売上げが、令和2年4月と平成31年4月を比較して減少していると回答した事業者は、全体の85%となっており、特に飲食業、サービス業においては、約90%以上の事業者の売上げが減少している。また、要望の多い支援策については、売上げ増加につながる取組への支援、3密対策への支援、家賃などに対する支援、プレミアム商品券の発行が求められている。

Q3 令和3年度の当初予算の事業費は、経営に支障をきたした市内事業者の意向を踏まえたものだと考えて良いか。

A3 実態調査を踏まえ、令和3年度事業については、経営に関する取組への支援や感染拡大防止対策及び売上げ増加につながる事業を予算計上している。

Q4 的確な経済支援を行う場合、市内の経済状況について、今以上の詳しいデータが必要だと考えるが、経営状況などの把握方法について、本市はどのように考えているのか。

A4 事業者の実態把握方法については、アンケート方式だけではなく、経済支援、相談窓口での相談や市職員による事業者訪問を通じて、経営状況や雇用者の休業補償などの具体的な状況把握に努め、必要に応じて中小企業診断士や社会保険労務士などの専門家を派遣し、早期に事業者が抱える課題の解決につなげたいと考えている。

Q5 中小企業診断士や社会保険労務士にはどのような相談があるのか。

A5 中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家であり、相談内容の一例を挙げると、テイクアウトやデリバリーなどの業態転換する際の商圏の考え方や新商品の価格の設定に関する相談などを行っている。
また、社会保険労務士は、企業の労働管理と社会保険に関する申請手続やコンサルティングを行う専門家であり、雇用調整助成金や雇用安定助成金など雇用に関する相談が行われている。

Q6 商工会議所や商工会との連携は非常に大切だ。相談事業は、会議所や商工会でもやっているのではないか。様々な事業者から相談を受けている会議所や商工会は、今の現状をどのように考えているのか。

A6 相談事業は、商工会議所や商工会でも実施している。実態調査結果についても、商工会議所や商工会と情報を共有している。
商工会議所や商工会は、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、市内事業者の厳しい経営状況は続くという本市と同様の考えを持っており、飯塚市、商工会議所、商工会の3者が連携を深め、ウイズコロナのフェーズにおいてきめ細やかな事業者支援を行っていく。

Q7 令和2年9月議会でも質問したが、私は商工会議所や商工会との連携については、商工会議所や商工会からの様々な情報を飯塚市が共有するということで、飯塚市内の事業者が必要とする的確な経済対策が可能になると考える。本市と商工会議所・商工会との連携について、現状のままでよいのか。

A7 今後については、会議所や商工会には経営指導員が在籍していることから、市の職員と経営指導員で事業者を訪問するなど、さらに連携を深め、中小企業診断士や社会保険労務士などの専門家につなげていく必要があるものと考えている。

Q8 経営指導員の役割とはどういったものなのか。

A8 経営指導員は、市内における小規模事業者に対し、経営の改善発達を図るため、金融、経理、経営などについての相談に当たり、経営計画の策定や国や県の小規模企業施策のコーディネート支援を行う役割を担っている。

Q9 商工会議所や商工会の役割として、経営指導も大切だが、重要なことは商工業の振興であって、コロナ禍においては商工会議所や商工会が把握している市内事業者の現状や情報をもとに的確な支援策を市に提案する役割も必要ではないかと考えている。実効性のある効果的な事業展開を連携して行うことは検討できないか。

A9 今後、商工会議所・商工会とさらなる情報共有を図りながら、関係団体と支援の在り方、支援策等について意見交換を行い、より効果的な事業を展開していくことを考えて行きたい。

Q10 経済産業省は飲食店以外の業種に対する支援として、緊急事態宣言の影響を受けた事業者に一時金を支給するということだが、その事業の概要はどのようなものか。

A10 経済産業省の一時金は、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、本年1月から3月のいずれかの月の売上高が対前年比または対前々年比で50%以上減少している事業者に法人が60万円以内、個人事業主等が30万円以内の額を支給することとなっている。なお、受付は3月8日から開始されている。

Q11 たとえ60万円が支給されたとしても、厳しい経営状況に変わりがないのではないか。飲食店のように手厚い支援が必要ではないかと考えるが、飲食店以外の事業者への支援について本市独自の経済支援をどのように考えているのか。

A11 まずは飲食店向けのプレミアム応援券を発行し、飲食店の需要を喚起することで取引のある卸売店などの関係店舗への波及効果を高め、さらに幅広い業種で利用できるプレミアム応援券を発行することで、飲食店以外の事業者を支援したいと考えている。

Q12 プレミアム応援券については、市民の消費喚起に有効な施策の一つであると考えるが、これは消費する場所が消費者に委ねられるため支援が限定的になるのではないかと懸念している。プレミアム応援券の発行と同時に、もっと幅広い事業者への支援というのが必要ではないか。経営が苦しい事業者、国、県の支援が行き届いていない事業者に対して、一刻も早い経済対策は可能なのか、また、そのような考えがあるのか、市長の考えを示して欲しい。

A12 これから先どうなるだろうかということで、幾つかシミュレーションしながらも、未確定な要素があるので二つだけ述べたい。一つは、緊急事態宣言が解除されたが、一気に人の動きが戻って来るとは考えていない。感染状況がどうなるかということについて、今現在、変異種の問題もあるので非常に想定に苦慮している。
もう一つは、この後、どんな時代が急激に訪れるだろうと考えたときに、明らかにニューノーマルな時代になると思っている。生活様式が変わる。働き方が変わる。そして、今質問があったことに関連する事業経営の仕方も変わる。また、変わらざるを得ないと思っている。
そうした観点から、現金を支給するより、IT導入補助金のような新しい事業経営の在り方を企業診断士や経営指導員の専門性を生かしながら、そういった形で支援して、新しい時代にも対応できる地元の事業者育成に力を注いでいきたいと考えている。
指摘があった今の現状がどうであるのか、それからその先の見通しについて、実際に事業者や働いている方々がどうなのか、しっかりとその情報収集もしながら、さまざまな施策を考えて、議会にも今後相談をさせていただきたい。

今回の質問で気になったこと

答弁では、市内の全業種4,362事業者に、飯塚市・飯塚商工会議所・飯塚市商工会が共同でアンケート方式による実態調査を実施したとのことですが、アンケートの回収率が20.1%とのことでした。

私はアンケートの回収率が非常に低いと感じています。
様々な事業者の声を経済対策に反映させていくということを考えると、20.1%という回収率で大丈夫なのか?
アンケート方式のやり方や回収率を上げていく方法を再考すべきではないかと指摘をしました。

次のことを要望しました。

⑴ 経済産業省は、県の協力金の対象とならず売上高が50%以上減少している事業者に一時金を出すということだが、売上高の減少が50%未満の事業者に対して、市が支援するということは出来ないだろうか。

⑵ 例えば、国が行うIT導入補助金の採択者に対して、飯塚市は上乗せで補助金を出す事業を行っているが、この採択を受けた事業者の採択率は50%前後だと聞いている。
不採択になった事業者は、答弁にあったように新しい事業を行っていく上で、中小企業診断士が市場について様々な提案を行っていて、補助金申請を行うために経営指導員がコーディネーターとして指導を行っていることから、不採択になった事業者に対して飯塚市が補助金を支給しても良いのではないか。

国や県の支援が行き届かなかった事業者に対して、支援の幅を広げるという視点に立って、支援策を検討して欲しい旨要望しました。