オンライン英会話を中学生まで事業拡大できないだろうか。
オンライン英会話は全国初の取組みとして、平成28年度に小学校6年生の児童を、平成30年度からは小学校5・6年生の児童を対象に飯塚市内全ての公立小学校で行われています。
オンライン英会話は、インターネットを活用し、外国人講師と1対1で会話をしながら学ぶ仕組みとなっています。
令和2年度決算委員会において、この事業の成果と課題及び今後の取組みについて質問しました。
Q1 オンライン英会話授業の成果と課題について、どのような事が考えられるか。
A1 成果としては、児童一人一人に一定の発話量を確保することができ、児童の実態に応じた指導を打合せ準備することができるので、児童は、授業に対する満足感を得ることができ、英語に興味を示している。
昨年度のアンケート結果では、あいさつなどの身近な会話ができると感じている児童や英会話の学習が楽しいと感じている児童の割合が高く、オンライン英会話を通して、外国語と触れ合うことを楽しいと感じたり、積極的にコミュニケーションをとりたいと感じている児童が増加している。
また、来校するALT(外国語補助助手)に対しても積極的にコミュニケーションをとる姿は素晴らしく、オンライン英会話の成果が伺える。
課題としては、マンツーマンで英会話をすることから、複数の講師を確保する必要があり、講師の質の担保とオンライン時に通信状況が不安定になることである。
Q2 中学生から英語が苦手だという声を聞く。小学校時のオンライン英会話の成果が中学校では反映されていないのではないかと考えるが、教育委員会としてはどの様に分析しているのか。
A2 小学校段階での英語教育は、「聞くこと」「話すこと」の活動が中心であり、英語を何のために学ぶのかという動機付けを重視するものである。
現在の中学生全員がオンライン英会話を経験しており、英語によるコミュニケーションに対する意欲・態度には大きな効果を上げているが、中学校英語教育では、「聞くこと」「話すこと」に加え「読むこと」「書くこと」を含めた四技能のコミュニケーション能力を育むようになり、中学校で苦手意識が出てしまうことが課題としてあげられる。
英語教育の目標がコミュニケーション能力を身に付けることでありながら、「英語を用いて何ができるようになったか」よりも、「文法や語彙等の知識がどれだけ身に付いたか」という観点で授業が行われ、コミュニケーション能力の育成を意識した英語授業が不十分となったことや、各授業のペースの上昇、学習量の増大、部活等での生活時間の変化、テストの難化、テスト範囲の増大等の学校生活の変化も大きな要因と考えている。
Q3 英語教育の今後の取組はどのようになっているのか。
A3 本年度から、小学校校5・6年生は、外国語科(年間70時間)が教科化された。
また、「外国語活動」の授業を新たに3・4年生で行うことで、全体として小学校における英語教育が拡充され、外国語によるコミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することをめざしている。
そのため本事業を継続し、児童に英語によるコミュニケーション能力の基礎を養うことが望ましいと考えている。
Q4 小学校におけるオンライン英会話の対象学年の拡大は考えていないのか。
A4 小学校では平成30年度から新学習指導要領の移行期間として、小学3・4年生には外国語活動が始まったが、外国語に初めて出会う子どもたちが多く、一対一でコミュニケーションを行うことは難しい段階である。
そこで本市では、3・4年生の全クラスに年間5回、ALTを派遣し、英語に慣れ親しむため、学級のみんなで外国語のゲームやコミュニケーションを行っている。
本市教育委員会としては、オンライン英会話は5・6年生で実施し、3・4年生ではALTを派遣してコミュニケーションの素地を養うことが適切であると考えているので、小学校における対象学年の拡大は考えていない。
Q5 中学生にオンライン英会話を継続していく事業の拡大は考えていないのか。
A5 学習指導要領の改訂により中学英語も難化し、学ぶ語彙数が増え、文法も高度になり、外国語で自分自身の考えや気持ちを伝えあう対話的な活動が重要視されるようになった。
中学校の英語科教員は、専門性、英語によるコミュニケーション能力が高いことや、各学級に年間16回程度ALTを派遣していることから、中学校でのオンライン英会話の実施は難しいと考えていたが、今後、グローバル化に対応した新たな英語教育構想を本格的に展開していきたいので、中学生への事業拡大を前向きに検討したい。